Pseudomonas 属細菌DP-4株が2,4-dichlorophenol(DCP)を生分解した後、DCPは残留した。この残留が生じる理由を、他の従属栄養細菌群集との間の有機物をめぐる競合、またはChlorella ellipsoidea からの有機物の供給に注目して調べた。初期濃度が10または1,000ngC/mlのDCPはDP-4によって分解されたが、培養20日目においてもそれぞれ1.3〜4.9または<0.1〜6.9ng C/mlが残留した。DCPの残留濃度はDP-4と他の従属栄養細菌群集との混合培養においてもっとも高かった。DCPが残留しているDP-4と他の従属栄養細菌群集との混合培養にグルコースを添加すると残留DCPはわずかに分解された。いっぽう2,4,6-trichlorophenolを添加すると残留DCPは顕著に分解された。以上の結果からDCPが残留する理由はDP-4がきわめて低濃度のDCPを共役代謝するのに必要な補助基質が不足したためと考えられた。
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