酸化マグネシウム (MgO) 粉体の焼結に及ぼす粒度分布の影響を検討した.試料には一次粒子径 (平均) が107nm (F (107)) および261nm (G (261)) の2種類のMgO粉体を使用した.一次粒子径分布の狭いF (107) 粉体の成形体を昇温加熱すると, 粒子同士の焼結により均質に粒成長が進行したが, 一次粒子径分布の広いG (261) 粉体の成形体を昇温加熱すると微細な粒子と粗大な粒子間で焼結が優先的に進み, 生成した結晶粒同士で焼結がさらに進行した.これらの成形体を1300℃の一定温度で焼成すると, F (107) 焼結体の相対密度はG (261) 焼結体のそれらよりも高い値を示した.また, F (107) 焼結体の場合には焼成時間の増加にともない直線的に結晶粒の成長が起こったが, G (261) 焼結体の場合には20時間以上焼成すると急激に結晶粒の成長が起こり, それにともない気孔が結晶粒内に取り込まれることがわかった.以上の結果から, 一次粒子径分布の広いMgO粉体を出発粉体に使用すると, 焼結中に気孔を結晶粒内に取り込み, 急激な結晶粒の成長を引き起こすため, 緻密化が抑制されやすくなることがわかった.
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