目的:併存疾患が急性期外傷性頸髄損傷患者の入院中の機能改善の阻害因子となり得る可能性について調査した。
方法:急性期外傷性頸髄損傷患者を後方視的に調査した。併存疾患をCharlson Comorbidity Index(以下,CCI)にて定量化し,筋力,座位及び歩行機能,ADLの変化などとの関連を調べた。また,CCI高低値群の2群にて,背景因子や入院中の運動機能の変化などを比較した。
結果:26名(男・女;21・5,平均年齢67.3±18.0)を解析対象とした。CCI低値群はCCI高値群と比較して, ASIA motor score,座位及び歩行機能,ADLの改善度が高く,座位及び歩行機能の改善度も有意に高かった(p<0.05)。年齢は,下肢筋力と座位機能の改善度と負の相関を認め,CCIは,上下肢の筋力,座位及び歩行能力,ADLの改善と負の相関を認めた。また,改善度は介入期間と正の相関を認めた。
結論:外傷性頸髄損傷患者の急性期病院での機能改善に,年齢や介入期間以外に併存疾患も関連する可能性が示唆された。
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