理学療法やまぐち
Online ISSN : 2758-3945
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
研究論文(原著)
  • 木下 貴文, 中川 敬汰, 甲田 宗嗣
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 2 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    【目的】 本研究の目的は,地域高齢者における外出に対する自己効力感とフレイルとの関連性を検証することである。

    【方法】 対象は通いの場に参加する地域高齢者43例とし,非フレイル群とフレイル群の2群に分類した。アウトカムはフレイルの有無とし,フレイルおよび外出に対する自己効力感との関連について多重ロジスティック回帰分析を実施した。さらに,Receiver operating characteristic curveを用いて,フレイルのカットオフ値と判別精度を算出した。

    【結果】 多重ロジスティック回帰分析の結果,フレイルに影響を与える要因として外出に対する自己効力感尺度が抽出された(オッズ比:0.30,95%信頼区間:0.09-0.58,p=0.01)。また,外出に対する自己効力感尺度によるフレイルのカットオフ値は14.5点,Area under the curveは0.945(感度93.8%,特異度81.8%)であった。

    【結論】 外出に対する自己効力感とフレイルとの関連性が明らかとなり,フレイルの有無を判別する評価指標として有用である可能性が示唆された。

  • 月城 一志
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 2 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    【目的】 心臓手術前のサルコペニアリスク評価と術後歩行自立の関連を明らかにすること。

    【方法】 対象は待機的心臓手術を施行された37例とした。調査項目は術前の患者背景,術前・退院時の理学療法評価,手術・周術期情報,術後リハビリテーション経過とした。統計解析は,Kaplan-Meier生存曲線分析で有意差を認めたサルコペニアリスク評価と術後歩行自立の関連をCox比例ハザード分析で検討した。

    【結果】 Kaplan-Meier生存曲線分析では,各サルコペニアリスク評価の中で,術前の5回椅子立ち上がりテストで有意差を認めた。術後歩行自立の有無を従属変数としたCox比例ハザード分析の結果,術前の5回椅子立ち上がりテストが独立した関連因子として抽出された。

    【結論】 各サルコペニアリスク評価の中で,術前の5回椅子立ち上がりテストが術後歩行自立日の独立した関連因子であることが明らかとなった。本研究の結果より,術後経過の予測やPrehabilitationの適応判定に有用である可能性が示唆された。

  • ─慢性疼痛緩和のための予備的研究─
    松浦 和文, 山崎 文夫, 山出 宏一, 加藤 祥一
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 2 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    【目的】 腹式呼吸が健常者の気分,脳活動および心臓自律神経活動へ与える急性効果を明らかにすること。

    【方法】 健常成人10名を対象とし,7分間の腹式呼吸の前後で気分プロフィールを調査するとともに,脳波,前頭葉のヘモグロビン濃度,心拍変動を実験中連続的にモニターした。

    【結果】 気分プロフィール検査の混乱-当惑,抑うつ-落ち込み,疲労-無気力,緊張-不安,およびTotal Mood Disturbanceの各尺度の得点は腹式呼吸後に有意に減少した。θ波は腹式呼吸の前半(0~3.5分)に減少し,α波は腹式呼吸の後半(3.5~7分)に増加した。酸素化ヘモグロビン濃度,心臓自律神経活動指標,心電図RR間隔は腹式呼吸により有意な変化を認めなかった。

    【結論】 緩徐な腹式呼吸は,健常者の脳血流動態と心臓自律神経活動を有意に変化させることなく,脳波のα波を増加させて精神的にリラクセーションさせることが示された。

  • 浅山 美穂, 和多田 美紅, 藤井 牧人, 渡邊 一也
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 2 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    【目的】 本研究の目的は,新人理学療法士において多職種連携実践および多職種連携教育の経験が多職種連携能力に影響を及ぼすのか明らかにすることである。

    【方法】 研究デザインはweb調査による横断的観察研究とした。関連施設である24施設に所属する新人理学療法士141名を対象に,基本属性,多職種連携能力の尺度である地域基盤型IPW能力自己評価を用い,4群比較を行った。

    【結果】 多職種連携実践および多職種連携教育の経験による4群間の比較では地域基盤型IPW能力自己評価の下位2因子に統計学的有意差を認めた。4群の中でも,多職種連携実践および多職種連携教育の双方を経験した対象者は多職種連携能力が高い傾向にあった。

    【結論】 多職種連携実践および多職種連携教育の経験が多職種連携能力の向上に寄与している可能性が示唆された。また,学生時代に多職種連携実践および多職種連携教育を行う重要性が示唆された。

  • 藤井 牧人, 將基面 恵介, 浅山 美穂, 石井 美咲, 小川 浩一
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 2 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    【目的】 当院回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢者頸髄損傷者の特徴,歩行機能及び日常生活動作の改善度について明らかにする。

    【方法】 65歳以上の頸髄損傷患者50例を対象とした。調査項目は神経学的損傷レベル,改良Frankel分類を用いて麻痺の推移,上下肢運動スコアの推移及び日常生活動作の改善度などについて検討した。

    【結果】 神経学的損傷レベルはC4もしくはC5が88%,改良Frankel分類Cが66%と多かった。歩行獲得率は,B1:0%,C1:18%,C2:77%であった。日常生活動作は,退院時B,C群の改善度は低く,D群では大幅な改善を認めた。

    【結論】 今回の研究で,高齢者は,高位損傷であるが故に歩行可能とならなければ日常生活動作の改善も難しいことが判明した。高齢者特有の問題もあり歩行の予後予測は難しいが,回復期リハビリテーション病棟に入院後1ヶ月程度は可能な限り起立・歩行練習を継続し,歩行獲得を目指す必要があると考えられる。

  • ─ロジスティック回帰分析を用いた関連要因の検討─
    渡邊 一也, 浅山 美穂, 和多田 美紅, 將基面 恵介, 小川 浩一, 多田 建智
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2024 年 2 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    【目的】 脊椎椎体骨折患者における回復期リハ病棟早期退院の可否に,入院時のサルコペニア疑いが関連するかを明らかにすることである。

    【方法】 研究デザインは横断研究。急性期病院から回復期リハ病棟にリハビリ継続目的に入院した65歳以上の患者とした。回復期在院日数の中央値未満以上で群間比較を行った。アウトカムはAWGS2019に準じたサルコペニア疑いの有無であった。

    【結果】 対象は445名。早期退院可能群212名,不可能群233名。女性のロジスティック回帰分析の結果,早期退院可能群と比較して,不可能群はサルコペニア疑いが有意に関連していた(オッズ比:1.75,95%信頼区間:1.01-3.05,p<0.05)。

    【結論】 高齢女性の脊椎椎体骨折患者における回復期早期退院の可否には,入院時サルコペニア疑いの関連が示唆された。入院早期より,多職種連携によって,患者の栄養状態改善および患者個々に応じた運動療法の再考が必要と考える。

編集後記
feedback
Top