理学療法やまぐち
Online ISSN : 2758-3945
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研究論文(原著)
  • ─骨折型によって杖歩行の可否に影響を与える要因は異なるか?─
    川端 悠士, 小川 浩司
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2023 年 1 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/06
    ジャーナル フリー

    【目的】大腿骨転子部骨折例における歩行能力に影響を与える要因は,骨折型によって異なるのか否かを明らかにすることとする。

    【方法】対象は大腿骨転子部骨折例95例とし,骨折型によって安定型47例,不安定型48例に分類した。調査項目は年齢,性別,受傷前の自立度,認知症高齢者の自立度,骨折型,術式とした。また術後4週における疼痛,脚長差,関節可動域,筋力,杖歩行の可否を調査した。骨折型別に,従属変数を杖歩行の可否,その他調査項目を独立変数として二項ロジスティック回帰分析を実施した。

    【結果】ロジスティック回帰分析の結果,杖歩行の可否に影響を与える要因として,安定型骨折では受傷前の自立度と術側膝伸展筋力が,不安定型骨折では術側股外転筋力が抽出された。

    【結論】骨折型によって杖歩行の可否に影響を与える要因は異なり,安定型では術側膝伸展筋力の向上を,不安定型では術側股外転筋力の向上を図ることが重要と考えられる。

  • 楫野 允也, 対馬 栄輝
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2023 年 1 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/06
    ジャーナル フリー

    【目的】消化器がん術後におけるQuality of Lifeを調査し,身体症状に関連する因子,術後運動負荷量の影響を検討した。

    【方法】研究デザインは前向き観察研究とした。消化器がんに対して手術を施行され,リハビリテーションを実施した55例を対象に,基礎情報,術前情報,治療情報,術後経過情報,身体機能評価,Quality of Life評価を調査した。Quality of Lifeの身体症状に関連する因子を抽出した後,術後運動負荷量の違いによる,身体症状との関連を多重ロジスティック回帰分析にて解析した。

    【結果】身体症状に関連する因子として,術後運動負荷量が選択された。術後運動負荷量の違いには,身体症状尺度のうち,疲れ,精神的機能,便秘,食欲不振が影響し,運動負荷量が多いほど症状は少なかった。

    【結論】術後運動負荷を増大していくことができる症例は,身体症状も改善しやすい傾向があり,運動量の促進が効果的である。

  • 加藤 聡純, 三浦 正和, 大野 豊, 村田 和弘
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2023 年 1 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/06
    ジャーナル フリー

    【目的】位相角(PhA; Phase Angle)は細胞の生理機能レベルを反映する。術前の低いPhAは栄養不良の指標となり,心臓手術後の有害事象にも影響することが報告されているが,身体機能との関連性を検討した報告は少ない。

    【方法】心臓血管外科手術目的に入院し,参入基準を満たした97例を対象とした。主要評価項目は身体機能因子としてPhAとの相関分析を行った。

    【結果】男性においてPhAは四肢骨格筋指数(SMI; Skeltal Muscle Index),等尺性膝伸展筋力(IKEF; Isometric Knee Extension Force),握力,SPPB(Short Physical Performance Battery)と正の相関を認め,細胞外水分比(ECW/TBW; Extracellular Water/Total Body Water)と負の相関を認めた。女性においてはPhAはSMI(Skeletal Muscle mass Index),握力と正の相関を認め,ECW/TBWと負の相関を認めた。

    【結論】PhAは握力,下肢筋力,骨格筋量とよく相関し,歩行速度や立ち上がり速度などの身体機能レベルを予測する指標としても有用であることが示唆された。

  • ─CGMを用いた血糖変動の評価─
    溝口 桂, 川端 悠士, 澄川 泰弘, 中森 芳宜
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2023 年 1 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/06
    ジャーナル フリー

    【目的】血糖コントロールの指標として血糖変動パターンは重要である。有酸素運動は血糖変動への好影響も期待できることから,有酸素運動による血糖変動への影響を明らかにしていく必要がある。今回,持続血糖測定モニタリングを用いた血糖測定を行い,朝に実施する有酸素運動が1日の血糖変動に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。

    【方法】研究デザインは横断的観察研究とした。当院に糖尿病教育目的に入院となった患者17名を対象とした。血糖変動の評価では平均血糖変動幅を用いた。有酸素運動は自転車エルゴメータを使用した。血糖変動について有酸素運動による効果を確かめるために運動非実施日と運動実施日の平均血糖変動幅を比較した。

    【結果】平均血糖変動幅は運動非実施日に比べ運動実施日で低値となり,有酸素運動により血糖変動は有意に減少した。

    【結論】運動実施日の平均血糖変動幅が有意に低い結果となり,有酸素運動による効果が示唆された。

症例報告
  • 西亀 勝, 山出 宏一, 松浦 和文, 田中 伸二
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 1 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/06
    ジャーナル フリー

    【目的】先天性股関節脱臼を既往にもつ骨盤骨折再建術後の症例に対する歩行能力の改善に向けた理学療法について報告すること。

    【症例】先天性股関節脱臼の既往があり,骨盤骨折に対し観血的骨接合術を施行した70歳代女性である。この度,骨折による荷重制限と股関節機能低下に伴い歩行困難となった。

    【方法】腹部引き込み運動や座位での脊柱抗重力伸展運動,側方リーチ運動,良肢位での荷重練習等のコアスタビリティトレーニングを中心に理学療法を行った。また,インソールを使用することで,荷重時における立位姿勢の非対称性を最小限にするよう努めた。

    【結果】股関節周囲筋力は抗重力運動レベルに留まったが,一本杖歩行は自立し 10 m歩行は18.0秒となった。

    【結論】先天性股関節脱臼を既往にもつ骨盤骨折再建術後症例に対するコアスタビリティトレーニングは歩行能力の改善に有効である可能性が示唆された。

編集後記
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