【目的】先天性股関節脱臼を既往にもつ骨盤骨折再建術後の症例に対する歩行能力の改善に向けた理学療法について報告すること。
【症例】先天性股関節脱臼の既往があり,骨盤骨折に対し観血的骨接合術を施行した70歳代女性である。この度,骨折による荷重制限と股関節機能低下に伴い歩行困難となった。
【方法】腹部引き込み運動や座位での脊柱抗重力伸展運動,側方リーチ運動,良肢位での荷重練習等のコアスタビリティトレーニングを中心に理学療法を行った。また,インソールを使用することで,荷重時における立位姿勢の非対称性を最小限にするよう努めた。
【結果】股関節周囲筋力は抗重力運動レベルに留まったが,一本杖歩行は自立し 10 m歩行は18.0秒となった。
【結論】先天性股関節脱臼を既往にもつ骨盤骨折再建術後症例に対するコアスタビリティトレーニングは歩行能力の改善に有効である可能性が示唆された。
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