理学療法やまぐち
Online ISSN : 2758-3945
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研究論文(原著)
  • 月城 一志
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2025 年 3 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2025/02/25
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】 新型コロナウイルス(Coronavirus Disease 2019:以下,COVID-19)患者における入院によるフレイル進行と予後の関連を明らかにすること。

    【方法】 COVID-19の診断でリハビリテーションを実施した349例(年齢83.5±9.3歳,女性43.3%)を解析対象とした。Outcomeは全死亡,全再入院,および全死亡+全再入院の複合とし,傾向スコアを用いた逆確率重み付け(Inverse Probability Weighting:以下,IPW)法を適応しKaplan-Meier生存曲線分析およびCox比例ハザード分析を実施した。さらに,入院前フレイルの重症度で層別化しサブグループ解析を実施した。

    【結果】 全死亡(Log-rank: p=0.55, weighted Hazard Ratio(wHR): 0.94, 95%Confidence Interval(CI): 0.34 to 2.64, p=0.91),全再入院(Log-rank: p=0.35, wHR: 0.69,95%CI: 0.36 to 1.33, p=0.27),全死亡+全再入院の複合(Log-rank: p=0.34, wHR: 0.74, 95%CI: 0.40 to 1.38, p=0.34)に有意差は認められなかった。サブグループ解析ではmoderately frailにおいて全死亡(Log-rank:p=0.03)に有意差が認められた。

    【結論】 moderately frailのCOVID-19患者において,入院によるフレイル進行と全死亡リスク上昇の関連性が示唆された。

  • 水野 博彰
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2025 年 3 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2025/02/25
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】 糖尿病患者の身体的フレイルに影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。

    【方法】 当院に糖尿病教育入院を目的に入院した60歳以上かつデータ欠損が無かった58例を対象とした。診療録より後方視的に患者基本情報,医学的情報,リハビリ情報を調査した。SPPB 9点をカットオフとして2群に分類し群間比較を行った。さらにSPPB合計点を従属変数としたステップワイズ重回帰分析を実施した。

    【結果】 重回帰分析の結果,SPPB合計点に影響を与える因子として最大 10 m歩行時間,UALB/CR,握力が抽出された。

    【結論】 糖尿病患者の身体的フレイルに影響を与える因子として,最大 10 m歩行時間およびUALB/CRが関連し,握力もわずかに影響を与えている可能性が示唆された。最大 10 m歩行時間は身体機能の低下を示す重要な指標であり,UALB/CRも腎機能と身体的フレイルとの関連性を示す指標であることが示唆された。

症例研究
  • ─2.8 km/h歩行における健常成人との比較─
    宇野 健太郎, 濱口 隼人, 赤川 智春, 小川 清洋
    原稿種別: 症例研究
    2025 年 3 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2025/02/25
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】快適歩行速度が 2.8 km/hである片麻痺者と健常成人で運動学的パラメーター変化と足底圧力変化にどのような差があるのかを検証し,本症例ではどのような歩行練習が必要かを検討した。

    【方法】片麻痺者と健常成人で歩行の比較を行った。測定は圧力分布計測機能を有したトレッドミル上で歩行試験を行い,二次元動画解析ソフトを用いて麻痺側膝・足関節,Trailing Limb Angle(TLA),足底圧力の変化の解析を行った。統計解析は片麻痺者と健常成人間の2群間比較を行った。

    【結果】本症例は健常成人と比較して,立脚終期の足関節背屈角度のピーク値までのタイミングが速く,前足部圧力のピーク値が低かった。膝関節では遊脚期の膝関節屈曲のタイミングが速く,屈曲角度が小さいことが確認された。またTLAも健常成人と比較し小さかった。

    【結論】本症例の場合ではpush-off時の足関節底屈モーメントに主眼を置いてトレーニングを行った方が良いと推測された。

  • 中嵜 大貴, 野見山 淳, 右田 るみこ
    原稿種別: 症例研究
    2025 年 3 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2025/02/25
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】 2型糖尿病患者に対し,通常の運動指導に加えて歩数計アプリを活用した指導により血糖コントロールの改善,運動自己効力感の向上および行動変容の移行が認められたため報告する。

    【症例】糖尿病教育入院された20代男性の2型糖尿病患者。介入前は運動に消極であり,運動習慣はほとんどなかった。

    【方法】 入院中は初期評価結果を基に,個別の有酸素運動およびレジスタンス運動プログラムを実施した。退院時に患者と相談し,入院中の平均歩数をもとに現実的な歩数目標を設定した。退院後3か月間,月1回の診察時に評価およびフィードバックを行った。

    【結果】 血糖コントロールが改善し,運動自己効力感や行動変容ステージに変化があった。

    【結論】 歩数計アプリを活用した運動指導は,行動変容を促進し,血糖コントロールの改善および運動習慣の確立に有効である可能性が示唆された。

編集後記
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