西日本社会学会年報
Online ISSN : 2434-4400
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選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
特集
  • 二階堂 裕子
    2025 年23 巻 p. 1-5
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル フリー
  • ―建設現場の男性たちの社会関係・身体・感覚から読み解く
    打越 正行
    2025 年23 巻 p. 7-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル フリー

    本報告は沖縄の建設業から、特にそこで働く男性たちの社会関係、身体、感覚にもとづいて、日本型雇用システムの欺瞞を暴くことを目的とする。ここで欺瞞を暴くとは、沖縄の建設業で働く労働者に日本型雇用システムによる恩恵など届かなかったこと、また沖縄の建設業からみると日本型雇用システムが優遇されたことで成立したこと、つまりそれは不公平な「出来レース」であったことを明らかにする。沖縄の建設業で働く男性たちは、厳しい上下関係を形成し、閉鎖的な空間感覚/現在志向の時間感覚、そしてパシリとして生きる身体感覚を身に付ける。それらはなんらかの指導や支援が行き届かない結果として表れるものではない。そうではなく、彼らが沖縄の建設業を生き抜く過程で積極的に身に着けたものであり、同時に身に着けざるをえない彼らの戦い方である。彼らが身につけた戦い方を読み解きながら、沖縄の建設業が経験した「戦後」、そして日本型雇用システムの欺瞞について明らかにする。

  • ―若者就労支援事業の現状分析から―
    金本 佑太
    2025 年23 巻 p. 27-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル フリー

    本稿では地域若者サポートステーション事業の利用経験者を取り上げ、不安定な移行経験の実態と、社会的支援のあり方としてサポステ事業の取り組みを検討した。調査から不安定な移行経験の実態として「無業経験に対する否定的感情」「困難対処における周囲を頼ることの難しさ」「適切な仕事の不在と将来展望の持ちづらさ」が析出され、サポステは「受容的支援による否定的感情の緩和」「自己分析的支援・職場体験による将来展望の明確化」によって対応していた。またサポステは、「地域ネットワークの構築」として各地域で高校等の関係機関に連携を呼びかける取り組みも行っているが、大都市を対象とするサポステと地方都市を対象とするサポステでは、高校数の違いや重要視する教育のあり方と福祉的課題への対応姿勢の違いによって、連携の進み具合に差異がみられている。今後は地域の関係機関との連携を進め若者就労支援の環境づくりを行うこと、また支援を受けた若者が個々の状況に応じて働ける社会参加の機会を整備していくことが重要になる。

  • ―介護職に従事するミャンマー人女性を事例に―
    二階堂 裕子
    2025 年23 巻 p. 41-57
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル フリー

    本稿では、過疎地域で働く技能実習生が経験する困難と、それらの困難を突破するための戦略について検討するため、島根県Z町の高齢者介護施設で就労するミャンマー人女性を事例に取り上げ、以下のような知見を得た。

    第1に、就業機会が大幅に縮小したミャンマーで、「高卒者」や「地方出身者」など、就労面でより一層不利な立場にある女性たちが、一刻も早く確実に海外就労を実現させるため、日本の過疎地域における介護職を選択していた。

    第2に、利用者や他の職員との密なコミュニケーションや感情労働が求められる介護の現場で、彼女たちは日本語での意思疎通がうまくいかず、自己嫌悪に陥る場合もある。また、多額の借金返済や母国への仕送りのため、節約生活を余儀なくされていた。

    第3に、彼女たちは娯楽の乏しい過疎地域での生活に物足りなさを覚えつつも、節約に努める生活にとっては「都合がいい」と解釈するとともに、数少ない同胞との親密なつながりによって心の拠り所を確保していた。また、大都市圏に住む親族や親友との関係を維持しつつ、技能実習修了後の大都市圏における再就労を展望していた。よって、彼女たちにとって過疎地域が日本就労を実現させるための「足がかり」となっていることを論じた。

論文
  • ―先行研究からの教訓
    金子 勇
    2025 年23 巻 p. 59-71
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル フリー

    3年がかりでまとめた『社会資本主義』を具体化する主体は、最大・最強のアソシエーションとしての国家であるとみて、国家論の分野を渉猟してきた。その大半が国家を機能論的に理解して、政治、経済、社会、文化、福祉などの全体社会システムを動かす機能に優れているとしていた。ところが偶然にフランス語文献の「社会国家」(État social)ないしは「福祉国家」(État providence)に出会い、英語圏における福祉国家(Welfare State)と用語上の違いに気が付いた。なぜなら、社会学では社会と国家は別ものだと解釈されてきたからである。

    しかし、資本主義論で世界的なベストセラーを出したピケティは、「福祉国家」(État providence)の代わりに「社会国家」(État social)を使い、「社会支出」が肥大した国家をそこにイメージした。「社会支出」には、保健(健康保険、病院)、年金、社会移転(家族手当、失業手当)、教育(初等、中等、高等)、住宅供給などが該当する。これは日仏ともに変わらない。ただしフランス語のsocialには福祉という意味があるが、英語ではその意味は非常に弱く、日本語では全く該当しない。では、「社会」を使う日本ではどうするか。それを国家論にからめて、やや原理的に考察してみたい。

  • A Case Study of the Kumamoto Islamic Center
    アクスト フローリアン, ミッチェル アンドリュー
    2025 年23 巻 p. 73-88
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/01
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    This paper investigates the challenges Islamic organizations face in Japan amid the increasing Muslim population through a case study of the Kumamoto Islamic Center (KIC). Through conducting interviews with four senior members of the KIC, this paper identifies the challenges it faces as a voluntary, independent, and multiethnic organization. The KIC draws on international students and long-term residents for its ‘organized’ membership and uses an Islamic decision-making approach called Shura to manage the activities of the organization. Despite the increase in the Muslim population, largely due to the arrival of ‘non-organized’ Muslims in the Technical Intern Training Program, there have been no significant changes in the KIC’s organizational structure or internal power balance. However, the growing Muslim population has impacted the KIC in several ways. For example, increased participation in religious festivals has strained the center’s capacity and resources as organizing such events has become more challenging due to the difficulty in managing increased traffic and complaints from the local community. Financial sustainability also remains a significant challenge for the KIC. The center’s reliance on donations has been problematic, something which was highlighted during the COVID-19 pandemic. Such financial issues limit the ability of the KIC to expand its activities, including outreach ones aimed towards the local Japanese community. Additionally, social and immigration restrictions during the pandemic resulted in a reduction in the organization’s binding social capital. This paper shall finally discuss the ways in which the KIC is looking to overcome these challenges and sustain itself into the future.

  • ―神戸市東灘区西岡本(旧野寄村)の事例―
    山本 努
    2025 年23 巻 p. 89-109
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/05/01
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    本稿では都市の聚落社会を記述する。聚落社会の探求は地域社会学の最重要の問題関心のはずである。鈴木栄太郎の聚落社会には都市と村落があるが、この事は概念上の区別であって、現実の都市の中には生活協力と共同防衛という聚落社会の内実をもった村落が生きている事がある。また、村落では果たせない生活共同や共同防衛の機能は、聚落社会としての都市(の専門機関)が担っている。神戸市の野寄(西岡本)は中世の郷村にまでたどれる古い村が生きている地域である。つまり、聚落社会としての都市と村落は一つの地域社会の中で、相互を支えあっている。ここにあるのは、現代都市の聚落社会の一つのありようである。しかし、ここだけの事例ではなさそうであり、一定の広がりがあるように思われる。今後の探求が待たれる課題である。

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