西日本社会学会年報
Online ISSN : 2434-4400
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最新号
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特集:観光の社会的効果へのアプローチ
  • 越智 正樹
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 p. 1-6
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー
  • ―ルート観光論からのアプローチ―
    高岡 文章
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 p. 7-19
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー

    観光にはどのような可能性や広がりや自由があるのだろう。観光はどのような意味において狭く暗く不自由だろうか。そして、その自由と不自由はどのようにつながっているのだろう。本稿は観光社会学の視点から観光をめぐる自由と不自由について検討する。その際、ルート概念を導入することにより、「観光すること」をめぐる社会学的探究に新たな視座を提供したい。

  • ―文化遺産活用のジレンマをめぐって―
    松浦 雄介
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 p. 21-32
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー

    近年、文化遺産が観光やまちづくりなどの目的に活用されることが多い。この傾向は、社会学および関連領域で「文化の資源化」として論じられてきた。文化遺産を資源として活用するとき、1つのジレンマが発生しうる。一方で、文化遺産を活用して観光やまちづくりを推進することは、文化の道具化・商品化につながりかねない。他方で、文化の自律性という大義のもとに文化遺産の積極的活用を否定することは、「文化遺産は誰のものか?」という批判を招くことになりかねない。本稿の目的は、このジレンマについて考察することである。最初に文化と経済の関係の構造的変化を概観し、次に文化の資源化がもっとも劇的に起こった事例としてイギリスおよび日本の産炭地を取り上げる。さらにイギリスにおける「遺産論争」やL・スミスなどの議論を検討し、文化遺産の保存と活用について新たな捉え方を提示する。最後に文化遺産の活用に商品化とコモン化の2つの面があることを明らかにし、文化遺産を活用した観光まちづくりが、これら2つの効果を及ぼしうることを論じる。

  • ―観光アクター間での価値規範の共創について―
    越智 正樹
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 p. 33-46
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー

    今日、全国の様々な観光現象において、非観光業者である住民が参画して個性的な魅力を発揮することが奨励されている。一方で、素人による個性の発揮はトラブルの発生にも繋がりやすく、平準化に向けた規制等が発動される例もある。このような平準化の流れの中で、非観光業者ならではの個性発揮はどのように維持あるいは変質されるものなのだろうか。本論はこの問いについて、沖縄県の教育旅行民泊を対象とし、民泊受入団体と旅行社とがその個性的価値をどのように認識しているか、またその価値がいかに(非)伝達・共有されているか、さらに受入団体側の自己規範化がいかに行われているか、の分析を通じて考察した。結果として、個性的価値が不明瞭なまま措かれている事柄は、価値仲介者(旅行社)との意思疎通の不足が拍車をかけて、その価値を担う主体(受入団体)自らによって平準化が優先され、その価値は矮小化の恐れに晒されていると言わざるを得なかった。これを避けるためには、受入団体側と旅行社側との協働による価値の言語化が必要であり、これを実現するためには第3者がリーダーシップを発揮するしかないことが指摘される。

論文
  • ―ベトナムにおける農業分野の技能移転の可能性―
    二階堂 裕子
    原稿種別: 論文
    2019 年 17 巻 p. 47-61
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー

    グローバル化と国内の労働力不足を背景に、近年、外国人技能実習制度(以下、本制度)による外国人労働者の受け入れが進んでいる。本制度の趣旨は、技能移転を通した開発途上国の経済発展を担う人材育成にある。しかし、帰国した元技能実習生が、必ずしも日本での就労経験を活用しているわけではないのが現状である。そこで本稿では、ベトナム人技能実習生を事例に、本制度を媒介とした技能移転の現状を検討し、国際貢献に向けた課題について考察する。

    本研究では、ベトナム社会の状況を鑑みて、農業分野における技能移転の可能性に焦点を当てる。そのうえで、愛媛県内の条件不利地域において、1970年代から有機栽培を主体とした環境保全型農業を実践している地域協同組合X の事例を取り上げる。X は、2000年以降、フィリピン人とベトナム人の技能実習生を受け入れるほか、ベトナム南部の都市に有機農業の拠点センターを開設し、帰国した元技能実習生による有機農業の推進を支援している。

    X の取り組みに関する分析をふまえて、本稿では、真の国際貢献に向けて、技能実習生の帰国後の再就職に向けた支援体制の整備が急務であることを論じる。

  • ―熊本県上益城郡水増集落の事例から―
    松本 貴文
    原稿種別: 論文
    2019 年 17 巻 p. 63-74
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、熊本県上益城郡水増集落における、太陽光発電事業の導入を核とした地域再生活動の事例研究を通じて、新たな自然資源利用が地域の持続可能性にどのような影響を与えるのかを明らかにすることである。従来、農山村の持続可能性については、経済的・社会的基盤という観点から議論されてきたが、農山村の暮らしと切り離すことができない自然環境とのかかわりにも目を向ける必要がある。水増集落では、共有地管理への危機感から、集落として太陽光発電事業の導入を進め、集落が誘致した企業とともに、発電・売電事業の枠に収まらない「むらづくり」を進めてきた。その結果、集落では共有地をはじめとする自然環境とのかかわりが増大し、人と自然との関係の再構築が進んだことで、経済的価値のみならず、地域内外の人々の間に社会関係や社会集団の形成を促すなど、社会的価値の創造にもつながっている。そのような成果を通して、事業は住民の地域観にも影響を与えており、集落の持続可能性に対しても、肯定的な効果が生まれつつあることが明らかとなった。

  • ―僧侶・巫者・信者の三者関係に注目して―
    吉田 全宏
    原稿種別: 論文
    2019 年 17 巻 p. 75-88
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー

    本論文では、在日韓国人僧侶が日本で信者を獲得する過程を巫者との関係から明らかにする。在日韓国人僧侶が日本で活動するためには自身の信者を獲得することが必要不可欠となるが、これは簡単なことではない。金銭的な動機から巫者の執行する儀礼を手伝う来日したての在日韓国人僧侶にとって、もっとも身近な一般信者は、儀礼で接触する巫者の信者である。しかし、巫者との良好な関係を維持するためには、巫者の信者を自らの信者に積極的に取り込むことは控えざるを得ない。だが、在日韓国人僧侶と巫者との金銭的主従関係が変容する過程で、こうした積極的な取り込みが実際に起こっている。こうした事態が示唆していることは、在日韓国人僧侶と巫者との間には「金銭的結合関係」だけでなく、「潜在的対抗関係を含んだ協働関係」が存在しているということである。在日韓国人僧侶の信者獲得過程として、巫者との関係の中で活動資金を得る一方、巫者の信者とも結合関係を構築し、最終的に自身の寺の建立や継承にいたる、そういう図式を描くことが可能である。

研究ノート
  • 津曲 達也
    原稿種別: 研究ノート
    2019 年 17 巻 p. 89-98
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー

    近年、研究目的で作成されていない会議録のような資料をネットワーク・データとして利用することが注目されている。本稿は集団・組織によって作成されている「会合記録」に着目し、「会合記録」からアフィリエーション・ネットワーク・データを生成する際の実践的な方法を検討した。「記録」には解決すべき問題として、記録者や転記者の文字の記載ミスから生まれる「記載のばらつき」と「同姓同名問題」がある。これらに対し、氏名が1字以内で異なる個々人について、その属性情報を比較しそれが一致すれば同一人物とみなす同定処理手法をここでは用いる。この手法を基礎にして、「会合記録」に含まれる情報(氏名情報、会合情報、ゲスト情報、日時情報)のみによってアフィリエーション・ネットワーク・データを生成する方法を検討する。この方法によって、約半数の紐帯を見逃す危険性がなくなること、また個々人の誤った同一人物判定がゼロであったことが示され、精度の高いアフィリエーション・ネットワーク・データを生成できた。会合記録から生成されるアフィリエーション・ネットワーク・データは個々人の会合への参加という行為を表現したものとなる。

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