伴走支援は「伴走型支援」と「問題解決型支援」からなる。前者は社会的排除を受け孤立無援状態におかれた人につながりつづける支援、後者はその人が抱えている生活問題の解決をはかる支援である。本稿は、NPO 法人抱樸による「子ども・家族まるごと支援」を伴走支援の事例と位置づけ、当事者と伴走支援員へのインタビューをもとに、伴走支援の過程と機能について分析する。得られた知見は以下の通りである。
①つながりつづける支援(伴走型支援)はコミュニケーションを可能にする支援である。特に当事者が自らを〈語る〉ようになることは「自分自身からの排除」(自己疎外)脱却につながる。その意味で、伴走型支援は「自分自身からの排除」に抗する支援でもある。
②フラットな関係の場である居場所でコミュニケーションは一層促進される。居場所は伴走型支援による「自分自身からの排除」脱却の触媒として機能する。
③問題解決型支援は「市場・集団・制度からの排除」に抗する支援であると同時に、信頼の形成を介して伴走型支援を下支えする潜在的機能を持つ。
抄録全体を表示