西日本社会学会年報
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特集
  • 稲月 正
    2024 年 22 巻 p. 1-9
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/17
    ジャーナル フリー
  • ー NPO 法人抱樸による「子ども・家族まるごと支援」を事例として
    稲月 正
    2024 年 22 巻 p. 11-24
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/17
    ジャーナル フリー

    伴走支援は「伴走型支援」と「問題解決型支援」からなる。前者は社会的排除を受け孤立無援状態におかれた人につながりつづける支援、後者はその人が抱えている生活問題の解決をはかる支援である。本稿は、NPO 法人抱樸による「子ども・家族まるごと支援」を伴走支援の事例と位置づけ、当事者と伴走支援員へのインタビューをもとに、伴走支援の過程と機能について分析する。得られた知見は以下の通りである。

    ①つながりつづける支援(伴走型支援)はコミュニケーションを可能にする支援である。特に当事者が自らを〈語る〉ようになることは「自分自身からの排除」(自己疎外)脱却につながる。その意味で、伴走型支援は「自分自身からの排除」に抗する支援でもある。

    ②フラットな関係の場である居場所でコミュニケーションは一層促進される。居場所は伴走型支援による「自分自身からの排除」脱却の触媒として機能する。

    ③問題解決型支援は「市場・集団・制度からの排除」に抗する支援であると同時に、信頼の形成を介して伴走型支援を下支えする潜在的機能を持つ。

  • ー 天理教里親を事例に ー
    桑畑 洋一郎
    2024 年 22 巻 p. 25-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/17
    ジャーナル フリー

    本稿は、天理教を信仰しながら里親養育を実践している天理教里親に注目し、第1に天理教里親がどのような里親養育を実践しているのか、第2にそうした実践がどのように信仰と関連付けられているのか/いないのか、第3にそうした実践がどのような帰結を導きうるのか、インタビュー調査から得られたデータへの分析を元に考察するものである。

    結果、天理教里親は、里親受託の判断における無限定性、里親養育の時間的な無限定性、支援対象の無限定性といった特有の無限定性を有しながら里親養育を実践していることが明らかとなった。また、そうした特有の里親養育実践は、「いんねん」をはじめとした天理教の教義に基づいて展開されていることも析出された。

    天理教里親の里親養育が実践されることにより、里子とその周辺にいる人々といった相対的に狭い範囲においても、里親養育がなされる場を抱える地域社会においても、支援の網が強化され、困難な状況に置かれた人々がそこに(再)包摂されていくことが本稿から見えてきた。また加えて、天理教里親等信仰と福祉的実践がいかに結びついておりそれがどのような帰結を導くのか、個々の実践に根差しながら分析を行っていく重要性もまた、本稿を通して示唆された。

  • ー 子どもの居場所・ちゃちゃルームを事例として ー
    益田 仁
    2024 年 22 巻 p. 41-54
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/17
    ジャーナル フリー

    本研究は、不登校や発達特性をもつ子にとって学校経験がいかなるものであるのかを記述した上で、地域における居場所の形成過程とその機能を明らかにすることをねらいとしている。子どもの居場所「ちゃちゃルーム」(福岡市)を事例として、まずは発達特性をもつ子が学校空間から排除されていくプロセスを跡付けた。保護者へのインタビュー調査からは「過度な規律指導」「合理的配慮の欠如」「子どもと先生の信頼関係のなさ」などが排除に至る学校側の要因として挙げられたが、その背後には学校の抱える構造的問題が伏在していると考えられ、<すき間>と<ゆとり>が失われた学校空間が子どもの発達特性を強調してしまう場となっている可能性を指摘した。ついで、そうして学校から排除された子どもたちのための居場所をつくろうとする地域住民の動きを整理した。ポイントは専門職を接着剤役としたローカルなネットワークが地域で組織されたことにあり、特によりあいの森という特養が地域住民と密接な関係を築いていたことがその素地にあることが明らかとなった。最終的に、その形成過程における戦後民主主義教育の役割について若干の検討を行った。

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