知的障害者は知的発達が遅れているにも関わらず,特別支援学校を終えると学びの場がなくなる “十八歳の壁”が問題となっている。一方,農福連携の取組みには,成人した知的障害者が成長した事例が数多く報告されており,農的活動が彼らの成長に資する可能性がある。そこで農作業に加えて,身体発達を促す体操(ブレインジム等),認知発達を促す座学(フォイヤーシュタイン等),主体性を育てる夢語りを組み合わせた学習プログラムを開発した。2022年10月から2年間週1回2時間半のプログラムを6人の知的障害のある青年を対象に試行した。そしてプログラムを通じた認知的身体的成長発達に成果が得られるか,身体の使い方の変化,認知教材の進捗,農作業での効果に加えて,認知発達を図る心理テスト(レイの複雑図形検査,レイヴンの色彩マトリックス検査)の得点変化を通じて,その効果を検証した。特に認知発達については,視空間知覚・構成機能,非言語性視覚記憶,非言語性推理能力といった認知機能を測る伝統的な認知テスト2種類を6~8か月の間をあけて2度実施し,その伸びを測定した。結果,農的活動を組み合わせた学習プログラムを通じて,視空間知覚・構成機能,非言語性視覚記憶,非言語性推理能力に関する評点改善が示され,こうしたプログラムを継続的に行うことで知的障害者の認知機能に改善をもたらす可能性が示唆された。
抄録全体を表示