天気
Online ISSN : 2434-1185
Print ISSN : 0546-0921
70 巻, 2 号
選択された号の論文の1件中1~1を表示しています
論文
  • 川口 真司, 加藤 輝之
    2023 年 70 巻 2 号 p. 65-76
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究では冬季(12月~3月)の日本海側を対象に寒気流入と大雪との関連性を見出すことを目的として統計解析を行った.解析期間は1981年から2020年とし,日降雪量と海面水温SST,JRA-55再解析データを利用した.寒気流入は,地上気圧と280K等温位面の気圧差である寒気質量DP,その気圧間で水平風ベクトルを積算した寒気質量フラックスFLCAおよびFLCAをDPで除算した寒気質量の平均風VELで評価した.

     DPは1月から2月にかけて日本周辺で最も大きく,FLCAとVELの分布では12月から2月にかけてウラジオストクからの寒気流出が顕著であった.平野部4地点(秋田,新潟,福井,松江)と山岳部4地点(角館,十日町,大野,赤名)を対象に調査した結果,DP=300hPaが大雪の1つの目安であり,大雪時の山岳部のVELが平野部よりも大きいことが里雪型と山雪型の違いとして見出された.全8地点で日降雪量上位75位以内の日にはSSTとDPに弱から中の負の相関が見られた.また,各地点の日降雪量上位25位以内の日を対象に,大雪をもたらした気象擾乱・気圧配置別にDPとFLCAについて調査した.メソスケール擾乱を伴わない下層収束や前線または下層トラフによる大雪時にはDPが比較的小さくなっていた一方,メソスケール渦状擾乱ではDPが大きく,季節風に平行な筋状雲であるLモードではDP,FLCA共に大きくなっていた.

feedback
Top