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発行年: 2004年~2004年
論文タイトル: 河成段丘
OR 論文タイトル: 和賀川流域
OR 論文タイトル: 東北地方
AND 著者名: 本多
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  • *
    本多
    啓太
    日本地理学会発表要旨集
    2004年 2004s 巻
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    1. はじめに 山地形成に断層運動が関わっていることは,以前から指摘されている.しかし,山地全体にわたる隆起量・隆起速度と山地形成の関係および隆起量・隆起速度と断層の関係はほとんど明らかにされてないといってよい.
    そこで本稿では,東北地方の和賀川流域を対象に河成段丘の調査を行い,段丘面の対比・編年を行うとともに隆起量・隆起速度を求め,その数値から断層モデルを導いた.
    2. 調査地域 調査対象となる和賀川は奥羽脊梁山地を貝沢野から川尻までの上流部では南北に流れ,川尻から北上までの中流_から_下流部では一部峡谷部をなしながら東西に流れる先行性河川である.
    3. 調査方法 隆起量・隆起速度の求め方は,吉山・柳田(1995)の方法を用い,断層モデルの導き方は,Manshinha and Smylie(1971)の半弾性無限体の理論を用い計算した1).
    4. 段丘面の記載と年代 本調査では,段丘をH2, H3, M1, L1, L2, L3の6面に分類することができる(図1).M1面とL1面は厚い礫層からなる堆積段丘であることが確認できる.また,M1面には厚さ約50cmの褐色火山灰土を挟んでToyaが,L1面砂層上部のシルト中にATが挟在することから,段丘の形成年代はそれぞれMIS6とMIS2に推定した.
    5.河成段丘からみた地殻変動 脊梁東部山地内では,すくなくとも中期更新世以降,東西圧縮下でおこる南北を軸とする地殻変動が継続している.
    TT値からみた隆起量は山地東縁付近で約60mと大きいが,山地内部で20m程度と小さい (図2).このことから,TT値から導かれる最近の隆起量は従来考えられているような,全体が持ち上がるポップアップ構造ではなく,盆地境界部付近に隆起軸をもつ,幅10km程度の変形と考えられる.
    このように,TT値による最近約10万年間の隆起速度分布は山地高度の概形と調和していないことがわかった.中嶋ほか (2000)によると,脊梁東部山地は6.5-3Maから隆起を開始しており,第三系などの地質構造は山地の概形と調和的である.これらから,6.5-3Maから少なくとも更新世前期に至る期間には,最近の隆起運動とは異なる山地全体が曲隆する隆起運動が存在していて,その隆起結果が残存して山地の概形を作っていると解釈するのが妥当と考えられる.
    6.奥羽脊梁山脈の隆起に関する断層モデル 変動地形学的手法から断層モデルを推定した.その結果,脊梁東部山地下に上部地殻を断ち切る高角度の逆断層と脆弱-延性境界である地震発生層底面と推定されている深度12km付近から地震発生層底面付近に沿ってのびる低角逆断層を推定することができた (図3).

    1)計算には東洋大学渡辺満久教授作成のQfaultを使用した.

    文献
    吉山 昭・柳田 誠 1995. 河成地形面の比高分布からみた地殻変動. 地学雑誌 104: 809-826.
    Manshinha, L. and Smylie, D.E. 1971. The displacement fields of inclined fault. Bull. Soc. Amer. 61: 1433-1440.
    中嶋 健・檀原 徹・鎮西清高 2000. 岩手県湯田盆地の堆積盆地の発達_-_新生代後期における奥羽山脈中軸部の地質構造発達史に関連して_-_.地質学雑誌.106:93-111.
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