国際医療協力の場における遠隔医療の可能性について,高速データ通信機能を有する衛星通信であるインマルサットM4を利用した,遠隔医療実験を2001年9月日本とネパールの間で実施した.インマルサット衛星通信を介してAdvanced pre-coding (APC)システムによるレントゲン画像,手術場面の動画転送を行い,送られてきた画像・音声についてMean Opinion Score (MOS)を用いて評価したところ,音声・画像・総合点は3.8–4.2点(5点満点)で有用性が認められた.衛星回線の通信料に見合う技術指導の費用対効果を高めるために,遠隔医療を実施するための作業の標準化をはじめ,撮影方法,画像送信の決定等の検討が必要であると考えられた.また,危機管理の点から医療専門家の技術指導のための渡航を減らすことができれば,その有用性はより高まると考えられた.
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