本研究は,東京都千代田区秋葉原地区を対象に,2006年と2013年に行った現地調査結果を基に,商業集積の特徴と変化を考察した.同地区ではメイド系店舗が集積し,飲食・サービス業化が進んでいる.アイドル関係の小売店や劇場も増加し,アニメ女性から実在する女性を嗜好する消費者へとターゲットが移りつつある.家電業界における企業再編の影響を受け,秋葉原駅付近の表通りでは戦前・戦後直後に開業した店舗が閉店して娯楽・飲食系のチェーン店が進出し,商業空間の均質化が進んでいる.街の飲食・サービス業化や街と関係性の薄い業種の店舗が集積したことで,消費者の関連購買行動が弱まり,商業集積地としての強みも減じている.一方,雑居ビルで構成される裏通りでは,メイド系店舗が多数入居して特徴のある空間を維持している.その雑居ビルでも残存・成長できる店舗は少なく,少女アニメ関係やメイド系店舗は激しく入れ替わる形でその集積を維持している.
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