牛の徐脈は迷走神経性消化不良の特徴的症候とされ, その原因が迷走神経の不可逆的損傷にあるといわれている.徐脈の実態を解明するために11, 082頭のホルスタイン種乳牛の臨床例を調査した.病類ごとの分析に用いた症例は手術または剖検で確認したものに止めた.その結果, 徐脈は特定の疾病に特徴的ではないが, 前胃弛緩症および第四胃便秘にはかなり特徴的に認められた.徐脈と死廃の関係では第四胃便秘, 積の腸カタルおよび盲腸気脹では斃死と直結した.徐脈の原因を迷走神経の不可逆的損傷とのみ結びつけることは困難で, おそらくほかの成因あるいは複合する要因があると思われた.
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