台湾における裁判外労働紛争処理は労働紛争処理法によって規律されてきたが、近年の紛争件数の増加や内容の多様化により、従前の労働紛争処理法では適切な解決方法を提供できなくなりつつあった。このような状況の下、2009年に労働紛争処理法が改正され、単独調停人や単独仲裁人、裁決制度が新設されるなど、紛争処理機能が格段に強化された。しかし、それでも、権利紛争事項と利益紛争事項の判断基準が不明確であるという問題点は残されたままである。この点については、労働部が行政命令で紛争事項の判断基準を示すことによって解決すべきであるし、それでも権利紛争事項か利益紛争事項かを判断できない労働紛争については、権利紛争事項として扱うという運用を確立すべきである。
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