年中児,年長児39名(平均年齢5歳4ヶ月,男児18名,女児21名)を対象に誤信念課題,PVT-R,ストーリーテリング課題を行った。本研究で作成されたストーリーテリング課題は,参加児が絵本の読み聞かせの動画を視聴した後に,その内容について他の参加児に説明を行うという内容であった。この時,説明を聞かせる相手が,一緒に動画を見た相手である“共同体験あり条件”と一緒に動画を見ていない相手である“共同体験なし条件”の2つの条件に分け,全ての参加児が両条件とも行った。また,事前に参加児を半数ずつ“演技群”と“統制群”に割り付け,演技群には説明の際に“先生のように説明する”ように教示した。統制群にはそのような教示は行わなかった。その結果,条件間,群間で総発話量には差がなかったが,共同体験なし条件の方が,共同体験あり条件よりも物語の登場人物の名前を説明に組み込んでいた。また,演技群の方が統制群よりも同様に物語の登場人物の名前を説明に組み込んでいた。これらの結果から,幼児は他児の知識状態,および自己の役割によって発話の質を変化させることが示唆された。
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