本稿は、2024年に放送開始65年を迎える幼児番組『おかあさんといっしょ』(NHK、1959~)において劇作家・飯沢匡が手がけた8シリーズの人形劇の内容を3回にわたって検証するものである。
6月号では、同番組で初めての人形劇「ブーフーウー」(1960~1967)と2作目の「ダットくん」(1967~1969)を、7,8月号では「とんちんこぼうず」(1969~1971)、「とんでけブッチー」(1971~1974)、「うごけぼくのえ」(1974~1976)の3シリーズを見た。それぞれの作品において、飯沢は新たな手法やテーマに挑み、同番組の人形劇の表現の幅を広げたことがわかった。
本号では、後期に制作された「ペリカンおばさん」(1976~1977)、「おもちゃおじさん」(1978~1979)、「ミューミューニャーニャー」(1979~1983)の3シリーズの内容を検証する。後期3シリーズを通じて、飯沢がさまざまな時代の変化を受けつつ、自らがよいと信じるものを作り続けたことを確認する。
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