詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "うま吉"
1件中 1-1の結果を表示しています
  • 朴 眩泰, 島田 裕之, 土井 剛彦, 牧迫 飛雄馬, 吉田 大輔, 堤本 広大, 上村 一貴, 阿南 祐也, 大矢 敏久, 鈴木 隆雄
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 近年、簡易的で侵襲的な方法である赤外分光法(near infra-red spectroscopy: NIRS)を用いた認知課題と運動に関する研究によると、脳血流量は中強度の有酸素運動や拮抗運動時に増加することが報告されており、運動と脳活性化との関連性が徐々に明らかとなっている。しかし、これらの報告の多くは健常成人を対象とした結果であり、軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)を有する高齢者において、どのような運動・活動が適切に脳血流を増加させられるかについては検討されていない。さらに、NIRSでは脳活性の近赤外線測定支点の正確な情報を把握することが困難であるため、運動介入による認知機能の改善効果を機能的脳画像診断機器 (fMRI,PET,MRS)のように正確な脳画像で検証することが不十分な現状にある。従って、本研究ではMCI高齢者を対象に多面的な運動介入を実施し、言語流暢性課題(word fluency task: WFT)を遂行中の脳活動をNIRS用いて測定し、運動介入前後の認知課題時の脳活動状態をNIRS-SPM法による新たな信号解析によりp値での脳画像で表現した。このように対象者の介入前後の認知課題遂行中の前頭前野の脳活動を検討することにより、認知課題中の時系列信号情報の変化からより正確な脳活性領域を把握することを目的とする。【方法】 対象は、認知機能低下予防を目的としたOBU studyに参加し、ベースライン調査を受けた高齢者のうち、Petersonの基準を満たしたMCI高齢者18名(年齢: 74.2 ± 5 歳、男性:10名)とし、運動群と講座群の2群に割り付けを実施した。運動群は、有酸素運動を中心とし、筋力トレーニング、記憶・学習を要する運動課題や同時課題(dual-task)での運動を多面的に実施するプログラムを行った。介入前後にWFT課題を実施して、WFT遂行中のNIRSデータから得られた近赤外線の信号のイメージングはMatlabとNIRS-SPM ToolBoxを用いて、近赤外信号のデータから光学厚さの変化を測定し、modified Beer-Lambert lawを用いて 酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)、還元ヘモグロビン(deoxy-Hb)の濃度を算出した。さらに、Wavelet-MDL法により必要のない信号を除外し、テンポラルフィルタ処理や設計構造デザインマトリクスより一般化線形モデル(GLM; generalized Linear Model)を用いてタスク時の oxy-Hbとdeoxy-Hbのp値(p<.05)で前頭前野の脳活性を示した。【説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言の趣旨に則り、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。対象者には本研究の主旨および目的を口頭と書面にて説明して同意を得たうえで実施した。【結果】 NIRS-SPMのトレンド除去により全体の信号バイアスを除外し、信頼性のある近赤外信号から脳活性の領域を示した。その結果、介入前後のWFT遂行時のoxy-Hbの推定活性領域、deoxy-Hbおよびtotal-Hbの変動領域を把握することができ、多面的運動介入が 特に oxy-Hb において左半球野(left hemisphere areas)及び下前頭回(inferior frontal gyrus)での活性化に有効であることが示された。【考察】 一般的にNIRS法は脳活性領域の正確な把握が困難であると言われている。さらに、近赤外分光の光学厚さの変化量から得たHbの濃度変化は高い雑音の為、信号対雑音の比率がよく把握できないことも予想できる。しかし、NIRSはfMRI・PETなどの他の脳機能画像に比べ、脳機能の時間的変化を捉えることが容易であり,自然な状態での測定が可能であるため,感情や意欲など検査状況により影響を受ける脳機能の検査や,検査時の姿勢保持が難しい被検者の検査に適している。さらに、より非侵襲的で検査が簡便なため,学習や発達に伴う変化を反復測定するのに有利であるため、認知機能の実験に利用されている。本研究においてNIRS-SPM Tool Boxを用いて近赤外信号からp-値による脳活性位置を明確に求めることにより、近赤外分光法の限界であった、介入前後の認知課題の調査反応に対する前頭前野の活性領域の変化を明確に観察でき、多面的運動介入の実施が言語関連課題に関する前頭前野の脳活性に有効であることが示された。この結果により、早く変化する脳内の生理学的反応をより詳しく測定し観察することと、かつ実験課題中の信号情報の正確な理解することができ、様々な課題中の脳内での複雑な生理学的反応の原理を把握できると期待される。  【理学療法学研究としての意義】 本研究の結果は、脳内の生理学的反応をより詳しく観察することと、かつ実験課題中の信号情報の正確な理解することができ、今後脳活性、特に脳の短期記憶/作動記憶(working memory)、 無意識的自動化反応(stroop paradigm)などの認知課題に関する理学療法研究の発展に意義のある結果を含むものと考える。
feedback
Top