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クエリ検索: "きむらとしろうじんじん"
2件中 1-2の結果を表示しています
  • ―「社会化する芸術」の現場から―
    吉澤 弥生
    フォーラム現代社会学
    2019年 18 巻 122-137
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/05/29
    ジャーナル フリー

    「アートプロジェクト」はアーティストが中心となって地域の人々などと共に制作・実施するもので、2000年以降日本各地に広がった現代アートの一形式だ。里山の廃校、まちなかの空き店舗などを舞台に多様な形態で行われている。

    これらの広がりは、アーティストが自らの表現と発表の機会を追求する動きと、地域活性、産業振興、社会包摂などの社会的文脈でアートを活用しようとする文化政策の動きが合致したことで生まれた。なかでも国際芸術祭は地域活性の核として期待されている。そして実際、地域の特性や課題に向き合いながら、固有の資源を発掘し、新たな価値を生み出したプロジェクトもある。こうしたアートの手段化には批判もあるが、多様なアクターの協働によって日常生活の中からアートが立ちあがる過程を明らかにすることがまず重要である。

    一方で現場には、プロジェクトの参加に関する住民の合意形成、現場を支えるスタッフの長時間労働、働き方と就労形態の不合致、低賃金、社会保障の不在といった問題とキャリア形成の困難が存在する。これは日本社会全体にも見られる「自発性」「やりがい」を盾にした低賃金・無償労働の圧と共通するものだ。

    今後はこれらの問題と向き合いつつ「なぜアートなのか」を問い続けながらのプロジェクト実施が望まれる。2020年に向けて文化政策におけるアートの手段化は一層進むが、成果主義では測れない価値を表現する評価方法も必要だ。

  • 美術と場所の関係性を巡って
    市川 寛也
    美術教育学:美術科教育学会誌
    2018年 39 巻 51-63
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,地域に根ざした美術教育(CBAE)の理論的な背景を明らかにするために,現代美術における「コミュニティ」に焦点を当てる。特に,ミウォン・クォンが著書の中で引用した「コミュニティ・スペシフィック」という概念を軸に論を進める。従来の「サイト・スペシフィック」が空間との視覚的な関係を重視しているのに対して,「コミュニティ・スペシフィック」では既存の共同体との対話に基づく関わりに力点が置かれる。その手法の一つとして,日常の延長線上に「場所」を開くという形式がある。そうした場が開かれると,興味関心を共有する個人によって動機縁的なつながりが生まれていく。その結果として,既存の地域社会を基盤にしつつも,固定化された関係性に縛られることのない「もうひとつのコミュニティ」が出現する。本論を通して,アーティストによる場の創出と,それを受け入れるネットワーク構築という二つのアプローチの複合的展開の意義を示した。
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