埼玉県草加市及び三郷市周辺の中川低地において,小規模微動アレイ探査により沖積層が厚く堆積している埋没谷の形状を地表から非破壊で求めることを試みた.テストフィールドは約 6 km × 4 km の長方形であり,この範囲で 104 点の小規模微動アレイ探査を行った.公園などの開けた場所では正三角形のアレイを用いたが,多くの点では道路脇や交差点などを用いた L字型のアレイにより測定を行った.解析の結果,自動車などによる非定常な振動や,非等方なアレイにも関わらず,ほぼ全点において明瞭な分散曲線を求めることができた.得られた分散曲線から逆解析により,深度 70 m 程度までの S 波速度構造を求め埋没谷の形状を推定した.得られた S 波速度構造及び埋没谷の形状は,PS 検層結果や既存のボーリングデータなどから推定される地盤構造と調和的であり,本手法の有効性を立証することができた.
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