「文学」がいかに教科書を超えて、作品を受け取っているのかを考える教材の一つとして、『古事記』『日本書紀』などの神話に注目した。新学習指導要領国語編「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」に「伝統的な言語文化と国語の指導の重視」が見られるなか、小学校時に古事記の暗唱などで「伝統文化」を感じさせるような実践も見られているという。ナショナリズム喚起の装置として働いていく可能性も危惧される。
しかし、『古事記』を中心とした〈神話〉はそのような「伝統文化」の枠組を超えた魅力を持っている。それは現在においても変貌し続け、息づく動的な魅力である。戦前でも戦後でも教材化され続けているヤマトタケルを分析することで、神話の動的な魅力が教材としての位置づけを超えて、現代に求められているものとして生成し、変化しつづけていくであろうことを見ていきたい。
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