東京都のコロナ対策サイト構築など、新型コロナウイルス対策で注目されるシビックテックは、市民が「自分達が必要とする」ものをみんなで作ろうという活動であり、社会課題の解決だけでなく、成果を共有する社会資本としての価値、公開されたコードによる手続きの透明化等の価値も得られる。監査人は、直接シビックテックの社会課題解決活動に参加すること、間接的にその品質の保証やソフトウェア監査を効率的に行うための環境整備活動を行うことで社会課題の解決に貢献できるだろう。シビックテックの共有経済が生み出す社会資本としてのソフトウェアは、商業経済におけるソフトウェアとは異なる意味を持つ。個人だけでなく企業や組織の関与の仕方を含め、社会や経済全体のあり方にも関わる問題であり、そのあり方についてさらなる研究が必要と考える。
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