ヒマにおける種子1粒重の決定経過を知るために, 開花期を記録した果実の種子を用いて大きさおよび重さからみた種子の生長経過を明らかにした.種子は開花後にまず長さ, 幅および厚さが増大し, それに伴って生体重も大きくなった.この時期の乾物重増加は少なく, しかもそのほとんどが種皮の増加によっており, 胚乳部分はほとんどが水分であった.種子の肥大がほとんど終了した後に種子の乾物重が急速に増加した.この時期の乾物重増加のほとんどが胚乳の増加によっていた.登熟期の気温が高くなると, 種子の大きさおよび重さの増加速度は速くなったが, 増加期間が短縮されたため, 最終的には小さくて軽い種子ができた.本実験の条件下で, 種子の大きさは開花期以降10~20日間に増加して決定し, 種子および胚乳の乾物重は種子の大きさの決定期以降15~25日間に著しく増加して決定することがわかった.果房内の種子1粒重の決定経過は, 上記事実と1果房内におけるそれぞれの花の開花期のずれを併せ考慮すれば良いと思われた.
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