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クエリ検索: "わたりとしお"
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  • 岸川 圭一郎, 馬渡 俊雄, 長浜 裕基, 中林 絋二, 藤本 一美, 久保田 靖, 力島 久
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 頸椎疾患患者の術後管理は、理学療法士にとって極めて重要な課題である。頸椎の術後には、適宜選択された頸椎固定装具が装着され、頸椎の運動が制限される。そのため、理学療法士は術後数カ月続く禁忌動作に対して指導を行い、患者の頸椎への過剰な負担を防ぎ、良肢位を保持させる必要がある。一方で、頸椎固定装具を装着する事によって、頸部周囲筋に二次的な廃用性の筋力低下が生じる。頸部周囲筋の筋力低下は、患者の諸活動の獲得を遅らせ、ひいてはリハビリの進行を妨げる原因となる。そのため、理学療法士は術後早期より筋力維持訓練を行い、患者の筋力低下を最小限に予防する必要がある。つまり、術後早期のリハビリでは、頸椎の保護を行いながら、頸部周囲筋の筋力低下を防ぐことが要求される。現在、安全な頸部周囲筋の訓練方法として、等尺性収縮を用いた筋力訓練が行われている。しかし、頸部周囲筋の等尺性収縮時における頸椎の固定性を検討している研究は、我々の知る限り見当たらなかった。そこで本研究では、頸部周囲筋の等尺性収縮時の抵抗強度が、頸椎の固定性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】 対象は、頸部疾患の既往の無い健常男性14名(平均年齢24.8±3.6歳)とした。事前にDanielsらの徒手筋力検査法の頸部屈曲に準じ、頸部周囲筋の等尺性収縮の運動方法について説明を行った後、徒手筋力計(PowerTrackII、JTECH medical社製)にて個人の最大筋力を測定した。最大筋力は頸部屈曲を2回測定し、その最大値を採用した。得られた最大値から筋力訓練として効果があるとされる最大筋力の40%、筋萎縮を防ぐと言われている最大筋力の20%を算出した。すべての対象者は、安静時(以下、安静条件)、等尺性収縮で最大筋力出力時(以下、最大筋出力条件)、等尺性収縮で最大筋力の40%出力時(以下、40%筋出力条件)、等尺性収縮で最大筋力の20%出力時(以下、20%筋出力条件)の4条件でレントゲン撮影を行った。40%筋出力条件および20%筋出力条件時には、徒手筋力計を用いて筋出力の調整を行った。頸椎の固定性を表す指標として、頸椎椎体間角度を用いた。頸椎椎体間角度の算出方法は、撮影画像の第2頸椎椎体下縁と第4頸椎椎体上縁から直線を引き、その延長線のなす角度を算出した。同様にして、第4頸椎と第6頸椎間についても頸椎椎体間角度を算出した。統計処理には,統計処理ソフトウェアStatView-J5.0を使用した。Kruskal-Wallis検定を行い、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、全ての対象者には事前に本研究内容やリスク、参加の自由などの倫理的配慮について口頭および文書にて説明した。その上で研究への協力を求め、同意書に署名および捺印を得た。【結果】 第2-4 頸椎椎体間角度は、安静条件では2.68±5.11、最大筋出力条件では1.24±10.17、40%筋出力条件では2.37±9.49、20%筋出力条件では4.51±6.57であった。第4-6頸椎椎体間角度は、安静条件では-0.80±7.79、最大筋出力条件では-3.06±11.25、40%筋出力条件では-6.56±11.34、20%筋出力条件では-5.93±11.05であった。頸椎椎体間角度について、安静条件と比較すると、最大筋出力条件、40%筋出力条件、20%筋出力条件のいずれにおいても、統計学上の有意な差は認められなかった。【考察】 安静条件と比較すると、すべての条件で統計学上の有意な差は認められなかった。このことより頸部周囲筋の等尺性収縮を用いた訓練では、頸椎椎体間角度の変化がなく、関節の固定性は保たれていることが示唆された。よって、等尺性収縮を用いた頸部周囲筋の訓練は、頸椎に負担をかけず、安全に実施できる筋力訓練であることが示唆された。しかし、その一方で、統計学上の有意な差は認めなかったが、各条件間における頸椎椎体間角度は、完全には一致していなかった。今回の対象者は頸部疾患の既往がない健常者であったが、術後の患者を対象として訓練を行う場合には、この変化についても考慮していかなければならないと考える。今後は、対象や研究方法をさらに詳細に設定していくことで、訓練の安全性について研究を進めていく必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】 今回の研究結果より、等尺性収縮を用いた頸部周囲筋の訓練は、頸椎に負担をかけず、安全に実施できる筋力訓練であることが示唆された。今後は、対象や研究方法をさらに詳細に設定し訓練の安全性について研究を進めていくことで、術後早期より安全に筋力維持訓練を行い、患者の筋力低下を最小限に予防し、早期の諸活動獲得を実現できる。
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