本論は,看護基礎教育と看護継続教育の歴史的変遷からみた専門職としての看護キャリア形成の教育的課題を論じたものである。看護教育制度は,時代の変化による社会の人々の要請に応えるべくして変遷してきた。それは,社会の要求に翻弄されながらも看護の質向上を目指したものであり,幾つかの公的検討会の報告書に示された内容の実現に向けて努力してきた歴史でもあった。2009 年には看護基礎教育における卒業時到達目標が示され,2019 年には看護系大学のコアカリキュラムが実現しようとしている。そして,看護基礎教育のみならず,卒業後の自己研鑽による生涯学習を支援する看護継続教育も変化し発展し続け,専門看護師や認定看護師,看護管理者が活躍している。これらの実態から専門職としての看護キャリア形成における個人的・組織的・制度的教育的課題について検討する。
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