本稿は、移動体通信サービスの広告をひとつの記号構造とみなし、社会・文化的文脈から解釈することで、当該サービスをとおして人々が実現しようとしている「理想的な生活像 (関係性) 」を明らかにしていくことを試みたものである。
移動体通信サービスの広告は、メディアによる「関係の開/閉」という二項対立の構図から成り立っている。そこでは、既存の親密な関係をベースに、即時的に関係欲求を満たすことのできるメディア空間をもつことが「理想的な関係性 (コミュニケーションの世界) 」として描かれており、移動体通信は、「既存の親密な関係を維持・強化する目的で、いつでもどこでも即時的に『つながり (つながる可能性) 』を実感できる情緒性の高いメディア」として提示されている。
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