情報技術の発展により,近年急速にその利用者を増やしているコンピュータを介したコミュニケーション(Computer-Mediated Communication; CMC)は,人間のコミュニケーション形態はもちろんのこと,社会生活にも大きくダイナミックな変化をもたらしている.本論文では,まずこのCMCの持つコミュニケーション特徴について,時間・空間の非共有や匿名可能など対面コミュニケーションとの比較の文脈で論じてから,CMCのさまざまな利用形態について,社会心理学における実証的研究の成果を引用しながら述べる.取り上げる利用形態は1)WWW掲示板 2)電子ブレーンストーミング 3)nRPG(ネットワークロールプレイングゲーム)であり,いずれも何らかの形で複数の個人が仮想空間に集ってコミュニケーションを行うという形のCMCである.最後に,これらの研究を通じて現在明らかにされているさまざまな特徴を踏まえながら,CMCを「特別で新しい」のではなく,「主要な」コミュニケーション形態としてとらえ,より一般性の高い知見を追究することの必要性が議論される.
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