本研究の目的は,ドキュメンテーションという手法を用いて,熟達したコンテンポラリーダンサーの日々の創作プロセスを記述し(ケーススタディ1),それを展示というスタイルで共有すること(ケーススタディ2)を通して,人々が自分自身の「アーティスト (the artist within)」を育む仕掛けとその効果を探索的に明らかにすることである。ケーススタディ1では,ダンスの熟達者は日々の創作プロセスにおいて,様々なダンスにまつわる仕事を,「ホンモノ」の表現の探究という軸で有機的につなげながら追究していることが明らかになった。さらに,その熟達者の探究プロセスから,人々の「アーティスト」を育む指針を構築した。ケーススタディ2では,ドキュメンテーション活動の一環として,ケーススタディ1で得られた知見を展示を通して一般の人々と共有するという試みを行った。その結果,熟達者や研究者だけでなく,その展示に参加した参加者も自分自身の「アーティスト」を発見し育む観点を得たことが示唆された。
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