列状間伐は生産性を高めやすいという利点がある。一方で効果的な光環境の改善により、混交林化に適する可能性もある 。
本研究では列状間伐が行われたスギ人工林内に更新した高木性広葉樹の分布と成長の特性を明らかにするとともに、混交林化を促す場合の管理方法について検討する。
調査林分は新潟県阿賀町の3 残1 伐による列状間伐が行われた33年生のスギ人工林である。この人工林に50m×50mの調査区を設置し、樹高2m 以上のスギと天然更新した高木性広葉樹の樹高、GBH、立木位置を測定した。
高木性広葉樹は1480本/ha出現した。林内の分布は、間伐が行われたスギが機会分布であったのに対し、クリ、ミズナラ、ウワミズザクラは狭い範囲で集中分布、ホオノキ、コシアブラはより広い範囲で集中分布をしていた。これら広葉樹からの一定の距離にあるスギの本数には有意な違いは無かった。樹高階級ごとに比較したところ、樹高の高いミズナラ、ウワミズザクラでは相対的にスギの密度が低いエリアに分布していた。他の広葉樹では明瞭な傾向はなかった。
これらの分布傾向をもとに、混交林化のための密度調整の方法を検討する。
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