巡礼の終着点として有名なスペイン・ガリシア自治州の州都,サンティアゴ・デ・コンポステラは,行政,大学,サービス・観光業などが複合的に求心力を発揮する交流都市である.本稿では,性格を異にする複数の交流が歴史地区という共通の土俵のうえで取り結ぶ関係性について,歴史地区に集まる主体の知覚表象を通じて接近した.都市計画行政,商業者,宿泊飲食業者,地区住民の立場を各々代表する人物へのインタビューは,歴史地区への空間スケールや意味・価値の付与が主体によって大きく異なることを明らかにした.交流の結節点をなすサンティアゴのような都市の個性と魅力は,矛盾や対立を孕んだ知覚表象が交錯する有様にこそ見出すべきではないか.
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