イスラム教を文化的基盤とする国・地域では,美術表現に対する解釈が我々日本人とは異なっていることがある。筆者は,そのようなイスラムの世界における美術教育の特色を明らかにするために,イスラム国家の一つであるモルディブ共和国を事例として取り上げ,同国の初等教育課程における美術カリキュラムについて調査した。その結果,本論文で対象とした2001年版ナショナルカリキュラムにおいては,自国の独自性を強調する側面がみられることが明らかとなり,その内容には,全国民がイスラム教徒というモルディブの文化的特質が反映されていることが推察された。
抄録全体を表示