高齢者を要介護状態にさせないための介護予防活動が取り組まれるようになってきたが,実際的な活動方法がまだ確立していない.
東京都板橋区では,今回,転倒予防教室および尿失禁予防教室事業を実施したところ,以下のような示唆が得られた.
1.介護保険認定対象外の高齢者に対する転倒予防教室を実施したところ,体力測定値が,個別指導群約6%,集団指導群約2%の割合で向上した.また,特に集団指導群で転倒に対する不安感や転倒しやすさの認識について改善が得られた.
2.40歳以上の女性に対して尿失禁予防教室を実施したところ,3か月後に約5割の者が,尿失禁の状況が改善したと認識していた.
3.介護予防活動においては,寝たきりの要因に対する直接的な援助のみならず,社会交流の機会の拡大や仲間づくりを視点においた活動も同時に展開することが重要である.
4.効果的な介護予防活動プログラムを開発していくとともに,介護予防事業の評価項目を精選していくことが課題である.
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