本稿は,韓国において現在みられるような「割引店」を主とした大型店が業態として確立した背景を把握するとともに,立地状況を明らかにすることを目的とした。その際に,韓国における政策転換に伴う小売業に関する制度の変化との関わりにも注目した。そして韓国における流通業,特に大型店に関する規制の変遷を整理するとともに,韓国における大型店が業態としてどのように成立,成長してきたのかを検討した。さらに,地図化することで,現在立地している大型店の出店時期や規模について考察した。その結果,(1)大型店に関する流通規制の方向性が2010年前後に大きく変化したこと,(2)流通規制の変化に伴い,1990 年代にソウル大都市圏や広域市などに限定されていた大型店の立地が,2000年代に入り地方の小都市にまで全国展開していったものの,2010年代になると出店数が急激に減少し,立地も大都市圏付近に回帰しつつあること,の2 点が明らかとなった。
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