2016年夏の参議院議員通常選挙で史上初めて実施された「合区選挙」は,候補者の擁立過程や選挙運動のあり方などに多大な影響を及ぼすとともに,有権者の投票参加に与えたマイナス面も大きかったと言える。本稿では鳥取県・島根県選挙区に着目し,合区された両県に加え,同じ中国地方の一人区であるが合区対象とはならなかった岡山県と山口県のデータも加えて,市町村レベルの投票率データをもとに,合区導入が投票率の変動に及ぼした影響について分析を試みた。鳥取・島根両県における投票率の水準自体は依然として高いものの,前回参院選からの投票率の変動を従属変数として分析を行ったところ,やはり合区実施が投票率に与えたマイナスの影響は大きく,とりわけ鳥取県内ではそうした影響は顕著であったことが示された。
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