国際的な新薬開発競争に際して、シーズとなる疾患関連バイオマーカーの発見、知的財産権の確保は、今後のわが国の医薬品産業の発展に不可欠である。多くの疾患の原因は遺伝子の最終産物であるタンパク質の異常によって起こっているため、疾患関連バイオマーカーの発見にはヒトの血液、尿、組織などの臨床材料を用いた疾患プロテオミクス研究が不可欠である。近年、質量分析計の急速な進歩に伴い疾患プロテオミクス研究が世界中で急速に広まりつつあるが、現在までに同定されたタンパク質は比較的量の多いタンパク質ばかりであり、疾患バイオマーカーとして有用なより微量なタンパク質の同定のための手法が求められている。また、見つかったバイオマーカータンパク質候補は数多くあるが、それらがバイオマーカーとして有用であるかどうかの検証が十分なされておらず、それが真のバイオマーカーの発見に至っていない大きな理由である。それを解決するためには、バイオマーカー候補タンパク質の機能解析を行い、そのタンパク質の異常と疾患との関連性を明らかにする必要がある。本年度、医薬基盤研究所内にプロテ
オームリ
サーチセンターが発足し、平成24年度までの4年間、疾患関連創薬バイオマーカー探索研究が行われることになった。本センターでは最新のプロテオーム解析技術を結集させたオールジャパンの体制で疾患バイオマーカー探索を行うことを目標として準備をすすめており、本シンポジウムではその現状について紹介する予定である。
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