本研究では、ラジオパーソナリティのエピソードトークに出現する非流暢性要素の特徴を明らかにするため、パーソナリティ歴との関連性に着目して分析した。具体的には、非流暢性要素を「フィラー」「自己修復(「中断」「言い直し」「繰り返し」)」「音韻の延伸」「無声休止」「呼気・吸気」の5つに分類し、熟達者と初心者の各トークにおける出現頻度を調査した。その結果、非流暢性要素全体の出現頻度は熟達者より初心者のトークで高く、「延伸」「フィラー」の出現数が大部分を占める一方、「自己修復」の出現頻度は熟達者のトークを下回っていた。また、フィラーの出現形式については、初心者のトークでは、特定のフィラーのみが偏って出現すること、フィラーが連続して出現することが明らかとなった。以上より、非流暢性要素をなるべく使用せず、特定の種類のフィラーに偏らせないことがラジオパーソナリティの情報伝達上の工夫であると考察できる。
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