本研究では, 2つの地方都市の中心商店街において,核店舗が営業していた2000年と,再活用が実施されて数年経過した2011年とを,買い物行動に関するアンケート調査や店舗立地調査などの分析を通して比較検討し,大型空き店舗の再活用方法が商倍街に対して与えた影響についての考察を行った.研究対象とした宮崎県日向市と宮崎県都城市の中心商店街は,いずれも同一企業が運営する同規模の大型店が商店街の核店舗となっていたものの,倒産により2002年に閉鎖され,現在はそれらが以前とは異なった用途で再活用がなされている.両市の中心商店街は元々比較的近い性格を有しており,さらに郊外型大型店の進出が相次ぎ,ともに官民双方により類似した再開発事業やイベントなどの活性化策が実施されていた.しかし,大型空き店舗の再活用方法や他の核店舗の規模や業態などにより,その後の商店街の状況に違いが出る結果となった.
このように,大型店を核として繁栄していた商店街は,核店舗の再活用方法によってはその役割や機能を変える.そして,旧核店舗が再活用されて新たな集客装置が出来たとしても,他の核店舗や周辺の商店が商業的に郊外店に対抗できる魅力を持たなければ,中心市街地を生活の場としている人であってもわざわざ郊外店へと足を運ぶようになる.つまり,「商業」の核といえる施設がなければ「商店街」としての活性化は難しくなるという結論に至った.
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