新規事業を立ち上げる際の事前評価は、通常の場合策定された事業計画の内容や実行可能性を評価する目的で実施される。しかし、SDGs関連事業の中には分野横断的取組や判定の難しい質的成果を目指すプロジェクト等、新規の立ち上げに複雑な要因が絡むケースが増えており、計画の段階から評価的思考を明示的に応用する事前評価実施の必要性が次第に顕著になっている。本稿は、筆者自身が関与したアフリカの次世代企業育成事業の新規立ち上げに際し、J・オウエンの事業前評価(Proactive evaluation)のフレームワークを活用して計画と評価が同時進行する事前評価を実施した事例の報告である。事例から得られた教訓は、事業企画の初期の段階からステークホルダー対話を重視することの重要性と聞き取りやフォーカス・グループといった質的方法とワークショップのような集合的データ創出手段を効果的に組み合わせる可能性である。
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