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1件中 1-1の結果を表示しています
  • 綿貫 豊, 山本 裕, 佐藤 真弓, 山本 誉士, 依田 憲, 高橋 晃周
    日本生態学会誌
    2018年 68 巻 2 号 81-99
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    人間活動のインパクトに対して海洋生態系や生物多様性を保全するため、海洋保護区の候補として生態学的・生物学的重要海域(Ecologically or Biologically Significant Areas, EBSAs)を特定することが求められている。しかし、外洋域においては、一般に生物情報の収集に大きなコストがかかるため、EBSAの特定は容易ではない。そこで、海棲哺乳類、海鳥類、魚類などの外洋性大型高次捕食者の分布や移動データを使うアイデアが注目されている。本論文では海鳥類のデータを利用して、EBSA基準の一つである、生物学的生産性の高い(一次生産性が高く複数の栄養段階を通してエネルギー流の大きい)海域を特定することの利点について議論する。海鳥は海上で容易に観察できるため、船からの目視観測による分布調査が数多く行われてきた。その結果、海鳥の分布は10 kmスケールで動物プランクトンやイワシ類などの餌生物密度と相関することがわかった。したがって、生物学的生産性の高い海域を海鳥の分布によって知ることができるだろう。加えて、海鳥のコロニーの分布と繁殖数や移動軌跡のデータが世界的に蓄積されてきており、これらのデータセットを使って、実際に管理しうる空間スケールでEBSAを特定できるかもしれない。さらに、衛星リモートセンシングで得た水温や一次生産などの環境データと統合することで、こうした生物学的生産性の高い海域が成立するプロセスを理解し、これらの変動を予測することが可能である。また、海鳥の餌や繁殖成績および体組織中の化学マーカーなどの情報から海域内の漁業や汚染など人間活動に起因するストレスをモニタリング・評価することができるだろう。海鳥から得られるデータ特有のバイアスやデータ収集方法の特性から生じる限界について理解した上で、海鳥の分布を生態学的・生物学的重要海域特定に利用することにより、生物多様性保全に向けた具体的な海域管理に貢献できるだろう。
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