『十訓抄』冒頭の序文(総序)を分析的に読み直し、その論理の展開の様子を検討する。総序は読まれることを意識して、極めて簡明で論理的に表現され、構成された文章である。その文脈には、編者の編著にあたっての意識や志向の方向なども読み取ることができる。編者の合理的な思考に裏打されたと思しい総序の叙述の様を念頭に置くことは、今後『十訓抄』の作品再評価にも有効な視座を与えると思われる。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら