2,3-ジフニニル-2-シクロプロペン-1-カルボン酸塩の陽極酸化によって,非ベンゼン系芳香族化合物として安定なシクロプロペニウムカチオンの生成と,このイオンの同条件下における反応を試みた。
まず無水アセトニトリル中,過塩素酸リチウムを支持電解質として室温で陽極酸化を行なう(流した電気量は1F/mol)と,予想どおりシクロプロペニウムカチオンめ過塩素酸塩が収率30%で単離された。メタノール中では,いったん生成したこのカチオン系中に存在する水とただちに反応して,初期生成物としてビス(2,3-ジフェニル-2-シクロプロペニル)エーテル〔3〕が75%の収がまま率でえられる。さらに大過剰の電気量を流した場合には,〔3〕がさらに酸化され,不均一化反応によってシクロプロペノン〔4〕,スチルベン-α-カルボン酸〔6〕,ジフェニルアセチレンおよびその他6種の高次生成物をつぎつぎに生成していく反応径路を明らかにした。〔3〕,〔4〕および〔6〕を別途に合成し,同条件下に陽極酸化して,上に推定した反応径路の正しいことを確認した。
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