昭和52年12月より,新しい内視鏡所見の記録法であるインスタントカメラによる内視鏡用ポラロイド撮影装置EC-3(以下EC-3と略す)の使用を始めた. 内視鏡施行の全症例に,このインスタントカメラによる撮影を施行してはいないが,このEC-3による撮影には従来のフィルム撮影には認められない長所がある.従来のフィルム方式は現像に時間を要し,画像として内視鏡所見を直ちに見ることは出来ないが,インスタント方式のEC-3により撮影を行なうと,約90秒後に直ぐに画像を入手することが出来る. これが最大の長所である.それにより緊急内視鏡施行後,直ちに,第三者による画像を参考にした治療法の検討が可能である.内視鏡施行直後に画像を示しながら患者および家族に説明も可能で,内視鏡所見の報告書や病歴に添付することにより,これまでのフィルムをプロジェクターにかけて検討する手間が省ける.また紹介医に,このポラロイド写真を1~2枚添付して返事を出すことにより,紹介医が自分の紹介した症例の内視鏡所見をこの写真により知ることは,以後の日常の診療に役立つことが大きい. 撮影装置の大きさは,190(幅)×160(高さ)×90(奥行)mm,重量は約9009と,ModelSc-16に比してやや大きく重いが,その取り扱いにさほど不便は感じられない.しかし得られる画像画がやや小さく(使用する内視鏡の器種にもよるが直径25mm前後),またフィルムが他に比べて高価である. われわれは,EC-3による撮影を行なって,この装置による長所,短所を以上の如くに知ったが,この新しい内視鏡所見の記録方法は,先端カメラ方式,接眼部カメラ方式または接眼部に取り付ける8mm,16mm映画による記録とことなり,内視鏡施行直後に,画像写真が得られる最大の利点をもつインスタントカメラ方式は,内視鏡の分野にも今後大いに導入されるべきであろうと考えている.
抄録全体を表示