造形表現をメディアとしてとらえ,それが子どもたちに負の価値としてマクルーハンらによる「メディア・テトラッド」の「衰退」と「反転」をもたらすことこそが造形教育の時数の削減や保護者の理解を得られない理由であると考え,子どもたちの表現の分析を試みた。その結果,「衰退」はゲシュタルト心理学でいう「図と地」の「図」の選択と集中を意味し,子どもたちの人格意識獲得のために必要なものと考えられる。「反転」は,パーソナリティ障害との類似性を仮定し,進化医学の知見から,造形表現がその活動の中で子どもたちを一時的にその状態におくがゆえに,子どもたちの健全な発達のために必要なものであるという考察を得た。
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