商業用途を中心とする再開発ビルは、厳しい商業環境の中、核店舗の撤退や空き店舗の発生などに対して継続的な競争力強化の取組を行う必要があるが、取組がうまく進んでいる事例は少ない。そのため、本研究においては、管理運営や床の所有形態、床利用形態に着目した事例調査を行うことで、競争力の維持強化の実態を把握し、商業用途を中心とする再開発ビルの競争力の維持強化の可能性と課題を明らかにするものである。その結果として、プロパティマネジメントを実施するマネージャーや組織の必要性、一体的な床利用が可能な空間形態としておく必要性、地権者組織など各地権者との合意形成をしやすい条件づくり、地権者の現状認識と理解、権利者組織や管理運営組織等による権利の集約の必要性が確認され、将来的な大規模修繕や建替え等の資金調達の課題や、区分所有に関わる課題などが浮き彫りになった。
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