本論文では以下の二項目を記載する。第一に,音声の生成に関わる各器官の働きを複数の計測装置により観測するため研究手法を概説する。われわれの研究所において使用している独自の方法を中心に,喉頭,舌,下顎,口唇,口蓋帆の活動を記録するための信号検出法,運動追跡法,内視鏡・医療画像法などの技術を紹介する。第二に,多重センサによる研究手法の有効性を示す例として,鼻腔内視鏡と気流計測による口蓋帆にみられる調音結合の観測結果,および新しく開発した電気的グロトグラフ装置と空気力学的計測法を組合わせた喉頭調節の観測結果を詳述する。
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