本論文では, 我々が作成した毛筆文字生成システムにおける毛筆文字のかすれ表現方法について述べる.毛筆文字のかすれは非常に多彩であるが, 本システムではフラクタルを利用して毛筆文字上に点をプロットすることでかすれパターンを作成し, 実際の書道作品のかすれに類似した表現を実現した.また, ユーザの筆圧, 筆速および墨量をファジィ評価してかすれを施す度合を決定し, これをフラクタルを用いてプロットする点の密度に対応させることで, かすれの濃淡を点の粗密によって表現した.本システムで作成した4つのタイプのかすれパターンではいずれも視覚的に実際のかすれにほぼ近いと思われる出力が得られた.さらに, 視覚的な評価とは別に各々かすれパターンのフラクタル次元の評価を行い, 実際のかすれ毛筆文字と比較評価し, この評価では類似していることを示した.
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