(1) 著者等は前報に引續き一般珪藻土礦床の成因並に珪藻土礦床中の不純物の存在に就て檢討した. 即ち珪藻土礦床は珪藻自體の死滅によつて珪藻殻が沈下堆積して形成されたものであるが, 單に完全な珪藻殻のみならず其等の破片並に不純物として粘土, 砂, 火山灰, 蛋白石, 鐵化合物, アルカリ, アルカリ土類鹽, 有機物, 硫酸分其他動植物化石等を混在する事を指摘し, 其等無機質不純物の莢雜混入の理由並に珪藻土積層中に含まれた種々の有機物の腐敗分解の適程に就て説明した. 其他珪藻土礦床の積層が土壓又は含アルカリ溶液及び粘土其他火山灰等の影響によつて生ずる硬化現象に就ても解説した.
(2) 珪藻土礦床の積層中の灰緑色部分に含まれた有機物及び硫酸分の存在理由に就て, これを珪藻の石油成因説と關聯して説明し, 更に此部分は主として珪藻中の有機物質が腐泥化作用を受けて, 他の無機膠状物と堆積又は珪藻殻を多く含んだ瀝青質泥板岩或は泥岩として發達構成されたものと推定した. 又硫酸分の存在は種々の點から見て火山作用又は温泉作用によるよりも寧ろ前記の腐泥化作用に伴ふ硫化水素の發生とバクテリヤによる分解作用によつて起る硫黄の固定と見るのが妥當ではないかと推論した.
終りに臨み本研究に對して御生前特に懇篤なる御指導を賜つた故近藤清治博士並に熱誠なる御支援を賜つた教室の方々に對して衷心感謝の意を表する次第である.
抄録全体を表示