はじめに
重症心身障害児(者)では異常肢位、下顎後退、舌根沈下、喉頭軟化症など閉塞性睡眠時無呼吸を抱えている事が多い。今回、CPAP適応と判断された症例でマスクの装着困難が発生した。ピロー型ネーザルマスクの使用でCPAPの安定的な使用が可能になったので報告する。
症例
A氏 42歳 脳性麻痺 意思疎通困難 下顎後退があり頭部頸部は全く動かない。側臥位による気道確保を試みたが効果得られずCPAP導入となった。
B氏 50歳 脳性麻痺 意思疎通可能 扁平胸郭と下顎後退が顕著。激しい首振りあり。側臥位は保持困難。仰臥位では下顎後退と舌根沈下で覚醒時にも低酸素状態が生じCPAP導入となった。
使用機材
使用機種:
ドリームステーション
マスク:ドリームウェア ネーザルマスク ピロータイプ
モード:Auto-CPAP
結果
A氏はマスクを掴んで外す、噛み千切ることが頻発した。ピロー型ネーザルマスクを使用した結果、拒否行動がなくなり、常に着用できるようになった。B氏は拒否行動が著しく最初からピロー型ネーザルマスクを使用。家族面会時に装着練習を開始し約二週間で、夜間5〜7時間の連続装着が可能となった。
考察
重症心身障害児(者)は精神遅滞で理解力は乏しく、未経験の人工呼吸器用マスクとCPAPの導入で拒否行動が出現する事は予測されており実際にマスクの破壊が連続した。フルフェイスマスク、鼻マスクなどは気密性も効果も高いが精神遅滞がある場合、受け入れ困難である。ピロー型ネーザルマスクは他のマスクに比べ、拘束感が少なくマスクと蛇腹が視界に入らない等、緊張、拒否行動を誘発する因子が少ない点が導入の成功に関与したと考えられる。
結論
・閉塞性睡眠時無呼吸の重症心身障害者2名にCPAP導入を行った。
・フルフェイスマスク、鼻マスクは外す、破壊する等で装着が困難であった。
・ピロー型ネーザルマスクを使用することで導入に成功した。
申告すべきCOIはない。
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