現在,幼児におけるコンピュータ導入に用いられている入力媒体,すなわちコンピュータと身体をつなぐインタフェイスは,大人のものと同じく,マウスあるいはタブレット等が中心である.しかし,幼児における芸術教育及び情報教育には,「身体」を基礎に豊かな「感覚」育成を視点に持つ新たな教育機器が必要と考えられる.本論では手先のみを使用するマウス型の入力機器とは異なり,幼児の全身が活用できる情報教育機器をセンサ・テーブルと命名し,総合的感覚教材としての教材ソフト及び教材開発を目的としている.さらに上記の教育機器を用いた実験保育を行いその経過について分析を行った.結果幼児は積極的にセンサ・テーブルに働きかけることができ,その行動は従来のインタフェイスに見られる手先の活動から,開放されたものと評価できる.さらにこうしたシステムは幼児が楽しみながら,新たな創作活動を誘発できるものとして今後の情報機器と子どもの有り様を示していると推論できる.
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