1.ハマオモトは, 日本では黒潮の流れる暖地の海浜に分布し, 万葉植物の一つで古くから知られ, 今日では単に天然記念物として大切に保存されている.
2.ハマオモトは, 同属中花に芳香があるのと, 草丈甚だ大なるを特異点とする.
3.ハマオモトの有毒成分は, アルカロイドの一種リコリソであるが, わが国では薬用的利用はほとんど知られていない.
4.生態学上よりみてハマオモトの種子は比重の重い胚の部を下にして浮き, 黒潮で海浜にたどりつくものである.その分布はあたかもココヤシに似る.千葉県房総半島の仁右衛門島 (地図では波太島) が最北限の一つとして知られる.この分布限界は年平均気温15℃の等温線と, 年最低平均気温-3.5℃の線とほぼ一致し, 特に後者の等温線によく一致するとのことである.
5.ハマオモトとその原種との生育に適する立地条件は共通と考えられる.
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