1. 棘毛ノ有無ハ二因子ニ依ツテ決定サレルモノデ、其ノ兩劣性的接合體ガ無棘莖ヲ表現スル。然シ乍ラ棘毛ノ表現ニハ相當彷徨變異ガアツテ性型的ニハ有棘莖デアリ乍ラ屡々コレガ無棘ニ止マルモノヲ混生スルカラ無棘ノ分離比ハ理論ヨリモ多イノガ常デアル。
2. 縮咲ハ普通咲ニ對シテ單性的劣性デアルガ、其ノ分離比ガ較々低イ。コレハ恐ラク縮咲ガ生理的ニ弱ク、胚又ハ生殖細胞時代ニ枯花スルモノガ多イ爲メデアラウ。
3. 切咲ハ普通咲ニ對シテ單性的優性ダガ、F
2ニ於テノ分離比ハ交配ニ依ツテ甚ダシイ變異ヲ示シタ。之ハ主トシテ環境ノ如何ニヨル彷徨變異デアル事ハF
3ノ證明ニ依ツテ略々見當ガツイタガ、ソレデモ其ノ程度ヲ形容スル modifier ガ存在シテ居ルラシイ。
4. 一般ノ八重咲バ一重咲ニ對シテ劣性トシテ遺傳スルガ、F
2ニ於テ其ノ分離比ハ大抵ノ場合甚ダ低率デアル。然モ斯ク分離シタ八重咲モF
3ヲトツテ見ルト、大抵ハ純殖シナイデ少カラヌ一重咲ヲ混生スル。斯ウシタ結果カラ八重咲ハ少クトモ二個以上ノ劣性因子ノ集合ニ依ツテ表現サレルモノト認メル。今少シ具體的ニ云フト一個ノ八重因子ガアリ、幾ツカノ modifier ガアツテコレニ作用シテ、八重咲ノ表現ヲ弱メルモノデアラウ。
5. 一重咲ニ對シテ優性ヲ示ス八重咲ガアル。
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