本稿では、財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センターがビジネス(企業)・アーカイブズとアーキビストに関する海外文献情報の収集と普及を目的とし、2008年2月に創刊したメール・マガジン「ビジネス・アーカイブズ通信」(略称「BA通信」)の紹介を通して、ビジネス・アーカイブズが抱える課題を論じる。企業アーカイブズとは機関アーカイブズの一種であり、その第一のミッションは業務支援にある。また企業アーカイブズにおいてはアクセス・ポリシーが重要な役割を果たす。海外文献によれば、このようなビジネス・アーカイブズの特性は、ビジネス・アーキビストの倫理性を問う議論も生み出している。このほか、本稿では企業組織におけるアーカイブズ部署をその機能・働きの観点から認識し、「アーカイブズ・プログラム」として把握することの有用性も提示している。
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