現代のクルーズツーリズムの在り方には、相反する二つの現象が見られる。一般大衆層を対象とした大衆化マ
スツーリズムのクルーズと、個性派富裕層を対象とした個性化オリジナリティのクルーズが同時進行している。
本論は、大衆化クルーズと個性化クルーズという対象的な二つの現象が並行する現代のクルーズ期を「クルーズ
二極化時代」と位置づけ、背景、特性、現況を論考し、いかなる要件においてクルーズ船の寄港地を選定してい
るか、クルーズ船社の視点から考察したものである。大衆化と個性化、及び双方に対応するクルーズ船社にイン
タビュー調査を実施し、クルーズ船の規模や客層が両極端となるクルーズ二極化時代において、大衆化、個性化、
それぞれの寄港地選定要件の多様性を明らかにし、優先順位の差異を示した。寄港地選定の要件を明瞭にしたこ
とはクルーズ船誘致を推進する自治体(寄港地)にとって実践的な活用データとなり、実務に役立つ研究成果を
得た。
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